印刷会社の全体最適化のために経営・情報システムの役割とは①
「これからの印刷企業のMISとは」~デジタルネットワーク化による全体最適化を目指して~ JAGAT 専務理事 山内亮一氏(プリテックステージ12月号より抜粋)
経営情報システム MISの目的
新しいMISに必要なコンセプトは、従来の原価管理、工程管理等の機能とともに「コミュニケーションの改善」です。そしてMIS導入の目的も「コミュニケーションの改善」により情報を有効に活用し、全体最適化を行って経営効率化をアップし、売上と利益の向上を図ることです。
印刷業を取り巻く環境と市場の状況は、いっそう激しくなっています。短期間、小ロット、低価格に加えて、顧客から問題解決の提供を求められるようになってきています。この環境変化に対して印刷業界の現状は、相変わらずのどんぶり勘定、水漏れ体質、設備単体能力依存の限界、ホワイトカラーの生産性低下、見合わないコストと対価などの問題を抱えています。
デジタルネットワーク化で綿密な経営
デジタルネットワーク化が加速度的に進んでいる時代ですが、印刷業界のデジタルネットワーク化は印刷業の経営課題の解決に大きく貢献するはずです。
米国のコンサルタントであるミルズ・デイビス氏がテクノロジーの方向性の概念として語った「Interprise」構築の時期に現在はあると思います。
デジタルネットワーク化の目的は、売上、利益の向上に他なりません。インターネットを通じて異なるコンピュータ間をコンピュータtoコンピュータで「情報」を縦横に流通させて、コミュニケーションを円滑にするとともに、情報を有効に活用します。
プリプレスと製本機械、MISとプリプレス、印刷会社のMISと外注先のMIS、印刷会社のMISと得意先のコンピュータを双方向でリアルタイムに結ぶものです。必然的にJDFのようなデータ交換の標準フォーマットが登場しました。
デジタルネットワーク化によって、①綿密な経営の実践、②非生産業務の合理化、③顧客満足向上、④更なる生産の自動化、という目的を達成するのです。
社内のデジタルネットワーク化については3つの階層に分けることができ、第1階層が生産の部分、第2階層が工程管理等の日常の業務処理の部分、第3階層が経営管理等の日常の業務処理の部分です。第2階層では業務の効率化が図られ、第3階層では緻密な経営が図られます。3つの階層の間の情報の流れをよくし、それを活用するシステムが全体最適化されたシステムということです。
「綿密な経営の実践」を可能にするMISの導入にあたり、前もって必要なことは、「水漏れを極力防がなくてはならない時代である」「売上だけでなく利益を見る」「想定外のことが起こりやすい時代なので、過去に経験したことのない事柄には、勘ではなくデータに基づいて判断すべき」という意識を持っておくことです。そして「全体の最適化」はこれからの課題を解消する有効な手段になります。
コンピュータ+人間判断でMISを使う
目指すのは、「コンピュータ+人間判断」のシステムです。営業の見積計算では、手順計画と基礎単価の部分をコンピュータがシュミレーションして、個別事情を加味した修正、最終見積は営業マンが行うことが理想的です。全社統一的なシュミレーション金額は自動的に算出しておくことです。
工務の日程計画では、手順計画、工数計画、進捗状況把握、工務負荷把握をコンピュータで行い、その結果をもとに個別納期、品質要件、機械特性を考慮した日程計画の作成を人間が行うことが理想的です。
しかし、デジタルネットワーク化の中で、従来にない「コンピュータ+人間判断」的なコンピュータの働かせ方をするのに必要な条件となる「標準化」が、これまで軽視されてきた傾向がありました。これからは、標準をコンピュータに乗せてシュミレーションして行くことが必要になります。
